
住宅ローンは何十年にもわたる大きな支出です。
毎月の返済が家計に与える影響も大きいため、「今より低い金利に借り換えれば負担が減るのでは?」と考える人も多いでしょう。
実際に、金利が低下したタイミングで借り換えを検討する人は多く、40代・50代でもそのメリットを受けられるケースは少なくありません。
ただこの年代特有の注意点や確認すべき項目も存在します。ここでは、借り換えで失敗しないためのポイントをわかりやすく解説しますので、借り換え検討時の参考にしてください。
住宅ローン借り換え時の確認ポイントと注意点は?
残りの返済期間が10年以上あるかどうか確認する。
住宅ローンの借り換えで得られるメリットは、主に「金利差×借入残高×返済期間」によって決まります。つまり、返済期間が長く残っているほど効果が大きいということです。40代や50代の場合、借り入れから10年以上経過している方も多く、残期間が10年未満になっていると、借り換えにかかる諸費用(登記費用・事務手数料・保証料など)でかえって損をすることもあります。借り換えを検討する際は、少なくとも**「残り10年以上」「残高1,000万円以上」「金利差1%以上」**が一つの目安です。
定年までに完済できる計画を立てる。
50代で借り換える場合、重要になるのが**「定年退職後の返済リスク」です。住宅ローンの完済年齢が70代や80代にまで延びてしまうと、退職後の年金収入では返済が困難になることも。借り換えで月々の返済額が減っても、完済時期が大幅に延びることで、総支払額が増えるケースもあります。そのため、借り換え後も定年(60~65歳)までに完済できるかどうか**を確認しましょう。繰上返済やボーナス返済を上手に活用するのもひとつの手です。
健康状態によっては団信(団体信用生命保険)に加入できない可能性もある。
住宅ローンには、借主が死亡や高度障害になった場合にローン残高がゼロになる「団体信用生命保険(団信)」の加入が原則必要です。ただし、団信は健康状態によって加入を断られることがあり、年齢が上がるほど審査も厳しくなります。持病がある方や過去に大きな病気をした方は、借り換えができない可能性もあるため、事前に団信の審査結果を確認してから申込を進めるのが安全です。最近では持病があっても加入できる「ワイド団信」もありますが、その分金利が上乗せされることになります。
諸費用を含めた総支払額の比較を必ず行う。
借り換えにはさまざまな費用がかかります。主な内訳は「事務手数料」「保証料」「司法書士報酬」「登記費用」「印紙代」などで、一般的には30万円~50万円程度が必要です。「金利が低いから得するだろう」と思い込まず、現状のローンと新しいローンの総支払額(元利合計)をしっかり比較することが重要です。また、手数料が割高な変動金利型ローンを選ぶと、長期的にはリスクもあるため、シミュレーションを複数の銀行で行うことをおすすめします。
将来のライフプランを見据えて柔軟なローン設計をする。
40代・50代になると、子どもの進学や老後資金の準備など、ライフイベントも重なりやすい時期です。借り換えをする際は、月々の返済額を無理なく支払える金額に抑え、繰上返済ができる余裕を持った設計にすることが大切です。また、定年後の収入に見合う返済プランを組むためにも、借入期間を短縮するか、退職金などを使って一括返済する計画も視野に入れておくと良いでしょう。
40代、50代の住宅ローン借り換えはメリットと将来性のバランスがカギです。
40代・50代での住宅ローン借り換えは、条件によっては非常に効果的です。
特に金利が高い時期に組んだローンを見直すことで、大きな節約につながることもあります。
ただ借り換えにはコストとリスクが伴うため、「本当に今のタイミングが最適なのか」「返済が将来的にも無理がないか」をしっかりと確認することが重要です。
金融機関や住宅ローンアドバイザーに相談しながら、納得のいく判断をしましょう。