
日本全国で年々増加する空き家は、放置すると景観の悪化や治安の低下、資産価値の減少につながる厄介な存在です。
しかし近年、この空き家を有効活用する手段として注目されているのが、シェアハウスや民泊(宿泊施設としての活用)。
固定資産の有効活用や副収入の確保が期待される一方で、制度上の制約やトラブルリスクも少なくありません。
空き家をシェアハウスや民泊として活用する際のメリット・デメリットを整理し、それぞれの特徴を解説しますので、空き家の有効利用方法を検討している人は参考にしてください。
空き家をシェアハウスとして活用する場合は?
空き家をシェアハウスとして活用するメリットは?
長期安定収入が期待できる
シェアハウスは、1軒の建物に複数人が個室を借りて住む形態であり、家賃はそれぞれから徴収されます。満室時には高い利回りが期待でき、空室リスクを分散できるのが強みです。
ニーズの高いエリアでは需要が安定している
都市部や学生が多い地域、外国人労働者が集まるエリアなどでは、低コストで住まいを探す若年層や留学生に人気があり、入居者が集まりやすい傾向にあります。
コミュニティ形成による価値が向上する
「単なる住まい」ではなく、「交流の場」「テーマ型の居住空間」として設計することで、他の賃貸住宅との差別化も可能です。
空き家をシェアハウスとして活用するデメリットは?
管理の手間が大きい
共用スペース(キッチン、バス、トイレなど)の清掃・ルール作り、住人間のトラブル対応など、一般的な賃貸よりも管理が複雑になります。管理会社の活用が不可欠です。
建築基準や消防法への対応が必要になる。
一定の規模や構造変更を行う場合、用途変更申請や消防設備の追加が必要になるケースがあり、初期コストが増加する恐れがあります。
入退去の頻度が高くなる傾向がある。
若年層や外国人を中心とした短期入居が多いため、入退去のサイクルが早く、常に募集活動が必要になることもあります。
空き家を民泊(短期宿泊)として活用する場合は?
空き家を民泊(短期宿泊)として活用するメリットは?
高収益の可能性がある
民泊は1泊単位での料金設定が可能なため、観光地や都市部では高稼働時に賃貸以上の収益が見込めるのが最大の魅力です。
物件の空き期間を収益化できる
常時貸し出さなくてもよく、自身のライフスタイルに合わせた運用が可能。セカンドハウスや別荘を活用した柔軟な運営もできます。
訪日外国人など新たな市場への対応
訪日観光客の増加により、ホテル不足を補う手段として注目されており、独自の魅力を活かした民泊運営が可能です。
空き家を民泊(短期宿泊)として活用するデメリットは?
法律による制限がある
2018年施行の「住宅宿泊事業法(民泊新法)」では、年間営業日数は最大180日までと制限されており、自由な運営はできません。また、自治体によっては条例でさらに厳しい規制がある場合も。
近隣トラブルのリスクがある
短期滞在者が多く入れ替わることで、騒音・ゴミ出し・不法駐車などの問題が発生しやすく、近隣住民とのトラブルに発展する恐れがあります。
運営・清掃コストが高い
宿泊ごとにリネン交換や清掃が必要となり、業者委託や人手の確保にコストがかかるため、収益を圧迫する可能性もあります。
どちらを選ぶべきか?用途・エリア・法規制がカギ
空き家をどう活用するかは、「立地」「物件の状態」「周辺環境」「法規制」によって大きく左右されます。
- 都心で駅近、若年層が多い地域なら→シェアハウス向き
- 観光地、イベントエリアであれば→民泊が高収益
- 住宅街や規制の厳しいエリア→賃貸住宅としての活用や売却の方が現実的
加えて、建物の構造や耐震性、リフォームコストなども検討材料です。どちらにしても、法令・条例のチェックと、地域との共存意識が成功のカギになります。
まとめ:空き家活用は「収益性」と「地域調和」のバランスが重要
空き家をシェアハウスや民泊として再活用することは、資産の有効活用や地域の活性化につながる可能性を秘めています。
しかし、運営には手間やリスク、法的制約も伴うため、目的に応じた戦略設計が欠かせません。
収益だけを追い求めるのではなく、地域の理解や利用者の安全・快適性を第一に考えた運営を行うことで、持続可能で価値ある空き家活用が実現できるでしょう。
適切な専門家や管理会社の協力を得ながら、慎重に一歩を踏み出すことが成功への近道だということも覚えておいてください。