
近年、住宅リフォームの中でも「和室を洋室に変える」ケースが増えています。
ライフスタイルの変化や家具の洋風化、高齢化社会におけるバリアフリー需要など、理由はさまざまです。
その一方で、和室特有の構造や素材に対する理解がないままリフォームを進めると、予想外のトラブルや後悔が生じることもあります。
和室を洋室にリフォームする際の注意点や、スムーズに理想の空間を実現するためのポイントについて詳しく解説していきます。
	なぜ「和室から洋室へのリフォーム」が増えているのか?
かつては新築住宅に当たり前のように取り入れられていた和室。しかし、近年では以下のような理由で和室を洋室に変更する動きが加速しています。
- 畳や障子などのメンテナンスの手間がかかる
 - ベッドやソファなどの家具と合わない
 - 掃除機やロボット掃除機が使いにくい
 - フローリングの方がバリアフリーに向いている
 - 子ども部屋やワークスペースとして使いたい
 
こうしたニーズの高まりにより、実用性や将来の暮らしやすさを重視したリフォームが主流となっています。
	和室リフォームの注意点とは?
	1. 床の構造と段差に注意
和室の床は、「畳の厚み(通常5~6cm)」に合わせて設計されています。そのため、畳を撤去してフローリングを貼ると床が下がり、隣の部屋と段差ができてしまう可能性があります。これはつまずきやすさやバリアフリー面で大きなデメリットになります。
対策:床下地をかさ上げし、他の部屋とフラットに仕上げる工事を行う。バリアフリーを意識するなら必須の工程です。
	2. 壁と天井の仕上げ材に要注意
和室は、壁に「砂壁」「聚楽壁」などの塗り壁、天井に「目透かし天井」などが使われていることが多く、そのままクロスを貼ると接着不良や凹凸が目立つことがあります。
対策:下地を石膏ボードに貼り替えてからクロス仕上げをするのが理想。費用は増えますが、長期的な仕上がりと見栄えの差は大きいです。
	3. 押入れの改修方法の選定
和室の押入れは布団の収納に適した設計になっており、奥行きが深く仕切りが少ないのが特徴です。一方で、洋室に合う収納はクローゼット形式が主流で、衣類や小物の収納に適した可動棚やパイプハンガーが求められます。
対策:押入れをクローゼットに改造する際は、奥行きを調整したり、扉を引き違いから折れ戸や開き戸に変更することで、使いやすい収納スペースに変えることができます。
	4. 柱や鴨居・長押(なげし)の扱い
和室特有の構造として、「柱が露出している」「鴨居がある」「長押がある」といったケースがあります。これらを洋室風にスッキリ見せたい場合は、化粧材や壁の中に埋め込む施工が必要になります。
対策:費用を抑えたい場合は、塗装や木目調のクロスで統一感を出す手法もおすすめです。
	5. 建具(ふすま・障子)のリフォーム
和室のふすまや障子は洋風インテリアに合わないため、建具ごと交換する人が多いですが、開口サイズが特殊で既製品が合わないケースもあるため注意が必要です。
対策:建具の寸法を正確に測ったうえで、オーダー建具にするか、引き戸・ドアへの変更を検討します。場合によっては枠ごと取り替える必要もあります。
	和室から洋室へのリフォームを成功させるポイントは?
	リフォームの目的を明確にする
寝室にしたいのか、子ども部屋か、収納部屋かによって、仕様が変わってきます。目的を明確にすることで、設計や素材選びに無駄がなくなります。
	予算に応じて優先順位をつける
フルリフォームが難しい場合は、床だけ・収納だけといったポイントリフォームでも満足度は上がります。
	既存の構造を活かす工夫をする
和の雰囲気を残した「和モダン」スタイルにすることで、費用を抑えつつおしゃれな空間に仕上げることも可能です。
	断熱・防音性能の向上も検討する
築年数が古い和室では、断熱材が入っていないケースもあります。床や壁の工事を行うなら、断熱材の追加や防音シートの施工も同時に行うと快適性が高まります。
	まとめ:和室リフォームは「構造と目的の理解」が鍵になる
和室から洋室へのリフォームは、見た目以上に構造的な違いや細かな調整が必要になるリフォームです。
畳・塗り壁・押入れ・天井材など、和室特有の素材や寸法をしっかり理解したうえで、将来的な住まい方に合った設計を行うことが重要です。
一見簡単に見えるリフォームでも、段差や構造の違いで予想外のコストがかかることもあるため、事前の計画と専門業者への相談をしっかりと行いましょう。
和室をうまく活用し、自分らしい快適な住空間を実現することが、満足度の高いリフォームへの第一歩です。













