戸建注文住宅で起こる問題
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注文住宅の場合、家の建築に着手する時や途中で「契約金」「着手金」「中間金」などを支払う慣例に原因があります。もう一つは、注文住宅を依頼する会社が小規模の工務店等であることが多いことです。1つずつ説明しましょう。

1)注文住宅の場合の建築費の払い方の慣例

注文住宅の場合、家の建築に着手する時や途中で「契約金」「着手金」「中間金」などの支払いを要求されるケースがほとんどです。これがあまりに当たり前になっているので、顧客の方も「そういうものか」と思っているのでしょう。

ところが、「前払金」や「中間金」を支払っていても、家が完成して引き渡しをするまでは、所有権は“工務店のもの”なのです。所有権は、家の完成後に「所有権移転登記」を経て初めて顧客(建築主)のものになります。つまり、家が完成するまでは、“工務店のもの”である家の代金の一部を支払っているわけです。

このような事情があるため、工務店が途中で倒産したりすると、様々な問題が発生します。

「すでに支払った資金が返ってこない」
「建築途中の家はどうなるのか」

建築資金の支払いは、

契約時に「契約金」として建築資金総額の2割
着手時に「着手金」として2割
上棟時に「中間金」として3割

というように決められていることが多いでしょう。このケースだと上棟時までに総額の7割も支払うことになります。

「上棟」と言うと、基礎部分と柱が建ち上がっている段階ですから、この段階で工事が全体の7割も済んでいるとは思えません。せいぜい4割、というところでしょうか。つまり、工事はまだ4割しか進んでいないのに、代金は7割支払っていることになります。

この段階で、工務店が倒産してしまったら、どうなるのでしょうか?

・工務店は倒産したわけですから、支払った代金はまず戻ってこないでしょう。

更に家が完成するまでは家の所有権は工務店にあるために、工務店が倒産した段階で、工事途中の住宅が債権者に差し押さえられてしまうかもしれません。つまり、自分の家を建ててもらっているはずなのに、目の前で工事がストップした上、工事途中の住宅の工事を再開することもできなくなる可能性があるのです。

このような問題が実際に発生したのが、この記事(「前払いで注文住宅 倒産で完成せず 被害拡大の懸念」(朝日新聞 2009年5月13日))の内容です。注文したものが自分のものになる前に、すでに代金を一部(または全部)支払っているという場合には、常にこのようなリスクを抱えている可能性があります。

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2)注文住宅を依頼する会社は小規模の会社であることが多い

「戸建て注文住宅」というと、テレビCMをどんどんやっていて、住宅展示場もあちこちにある大手ハウスメーカーというイメージが強いかもしれません。しかし、実際のところ、大手ハウスメーカーに依頼する人は3割程度で、地元の中小工務店などに依頼するケースが半数以上を占めているのです。

大手ハウスメーカーではなく工務店に依頼するケースの方が多いのには、以下の様な理由が考えられます。

・大手ハウスメーカーは価格が高い
・地元の工務店の方が自分たちの要望を聞いてくれて融通がきく
・地元工務店なら、完成後も修繕やリフォームを気軽に頼めそう

しかし一方で、地元の工務店に頼まない理由として、「会社が倒産する不安があるから」が第1位になっているのも事実です。経営規模が小さな会社が多いので、このような不安があるのも当然かもしれません。小回りはきくけれども、経営基盤は脆弱であるところが多いということ、倒産リスクについては注意しておくことが必要になります。

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