
近年、地方や郊外を中心に空き家を格安で購入し、リフォームして賃貸や売却で収益を上げる空き家投資が注目されています。
しかし、その手軽さや価格の安さから安易に手を出すと、思わぬデメリットやリスクに直面する可能性があります。
ここでは、空き家投資で失敗しやすいポイントや見落とされがちな注意点を具体的に解説しますので、実践する前の参考にしてください。
空き家投資にはデメリットやリスク、落とし穴があることも理解しておく必要がある。
立地リスクと需要の乏しさ
空き家は都市部ではなく、人口が減少している地方や郊外に多く存在します。そのため、リフォームしても入居者がなかなか見つからない、買い手がつかないといった「出口戦略の難しさ」があります。特に、駅から遠い、バスが不便、近隣に学校やスーパーがないようなエリアは、賃貸需要がほとんどない可能性があります。価格の安さだけに注目せず、必ず「将来的に需要があるかどうか」を見極めることが重要です。
予想以上の修繕費用
空き家の多くは築年数が古く、長期間放置されていることも多いため、目に見えない箇所に深刻な劣化がある可能性があります。たとえば、シロアリ被害、雨漏り、基礎や構造の腐食、給排水管や電気配線の老朽化などは、現地を見ただけでは分かりません。初期費用が安くても、実際に住める状態にするには数百万円単位の修繕が必要になることもあります。特に古い木造住宅では、フルリノベーションに近い費用がかかることも珍しくありません。
再建築不可物件や法令制限の存在
安価な空き家物件の中には、「再建築不可物件」と呼ばれる、将来的に建て替えができない土地に建っているケースがあります。都市計画法や建築基準法により、接道義務を満たしていないと、新しい建物を建てられず、売却や再利用が極端に難しくなります。また、市街化調整区域にあると、原則として住宅の建築自体ができないため、用途が限定されてしまいます。登記簿や法務局の調査、役所での確認は必須です。
維持費や税金の負担
空き家を所有するだけでも、固定資産税や都市計画税、水道基本料、防犯管理、庭木の手入れなど、一定の維持費が発生します。特に賃貸や売却に至らず「塩漬け物件」となってしまった場合、維持コストだけがかかり続け、収益性はマイナスになります。また、管理が不十分だと「空き家対策特別措置法」に基づき、行政から是正命令が出ることもあり、最悪の場合は解体命令や税負担の増加も起こります。
投資初心者が情報弱者になりやすい
空き家投資は一見シンプルに見えますが、法律、建築、地域事情、不動産流通など複数の知識が求められます。そのため、経験や知識が浅い初心者は、悪質な業者に高額なリフォーム契約を迫られたり、不適切な物件を掴まされたりするリスクが高いです。インターネットで「簡単に稼げる」「利回り20%」といった甘い情報に惑わされず、必ず複数の専門家に相談するなど慎重な判断が求められます。
空き家バブル崩壊の可能性
一部の空き家投資は、短期的な高利回りを期待して市場が過熱している側面もあります。しかし、需要の乏しいエリアで供給だけが増えると、家賃が下がり空室が増加し、利回りが一気に悪化する「空き家バブルの崩壊」が起こる可能性も否定できません。長期的な視点で見た場合、人口減少エリアでは不動産価格そのものが下がり続けるため、売却益を見込んだ戦略は成り立たないこともあります。
空き家投資のデメリットやリスク、落とし穴に関する記事まとめ
空き家投資は「低価格で始められる」とか「利回りが高い」といった魅力がある一方で、立地、修繕、法的制限、維持コスト、出口戦略など多くの落とし穴が存在します。
特に初心者ほど、収益のシミュレーションだけでなく、最悪の場合にどうなるかを事前に想定しておくことが大切です。
表面的な価格の安さにとらわれず、「その物件が本当に収益化できるのか」「長期で維持できるか」を慎重に見極める目が必要です。