
不動産の売買は、高額な資金が動く一生に何度もない重要な取引です。
しかし、契約後や引き渡し後にこんなはずじゃなかったとトラブルに発展するケースも少なくありません。
不動産取引は専門知識が多く、見落としや誤解が思わぬ損失につながることも。
この記事では、不動産売買時にトラブルを未然に防ぐための注意点やポイントをわかりやすく解説します。
売買時の不動産トラブルを防ぐために必要な注意点は?
物件の現況と権利関係の確認
不動産の購入前には、物件の現況(建物の状態)と法的な権利関係を十分に確認することが大前提です。
- 建物に雨漏り・シロアリ・構造不良などがないか
- 境界の明確化(隣地とのトラブル予防)
- 登記簿の内容と実際の所有者が一致しているか
- 抵当権や地役権などの権利が付いていないか
これらは不動産会社や司法書士、土地家屋調査士などの専門家に依頼してしっかり調査することで、後々のトラブルを回避できます。
契約書・重要事項説明書の内容理解
売買契約書や重要事項説明書には、物件や取引に関するあらゆる情報が記載されていますが、専門用語が多く、内容を十分理解しないまま署名してしまう人も多いです。
ポイントとしては以下を確認しましょう。
- 売主・買主の責任範囲(契約不適合責任の有無や期間)
- 引き渡し日、代金の支払い時期と方法
- ローン特約の内容(融資不成立時の契約解除条件)
- 瑕疵担保や設備の保証条件
- 解約時の違約金や損害賠償のルール
特に契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)については、売主がどこまで責任を負うかが契約によって変わるため、慎重に読み込む必要があります。
住宅ローン審査と資金計画
不動産購入時には住宅ローンを利用する人が大半ですが、ローン審査が通らなかった場合の対応を明確にしておくことが重要です。そのために活用されるのが「ローン特約」です。
また、自己資金・諸費用・リフォーム費なども含めた総額での資金計画を立てておかないと、資金不足でトラブルになりかねません。見落としやすい費用には以下のようなものがあります:
- 仲介手数料(物件価格の約3%+6万円)
- 登記費用、司法書士報酬
- 固定資産税の精算金
- 火災保険・地震保険
- 引っ越し費用・仮住まい費用
引き渡し時の立会いと確認
物件の引き渡し当日は、売主と買主が一緒に立ち会い、物件の状態を最終確認することが非常に重要です。見落とされがちですが、以下の点をチェックしましょう:
- 設備(エアコン、給湯器、照明など)の動作確認
- 傷や破損箇所の有無
- 残置物の確認(不要な家具が残されていないか)
- 鍵の本数・受け渡しの確認
この段階でトラブルがあっても、契約後であるため補償が難しいケースも多く、引き渡し前に気づくことが重要です。
売主の場合に気をつけたいポイント
売却する側にも注意点はあります。とくに以下の項目はトラブルになりやすいです。
- 物件の瑕疵(欠陥)を故意に隠すことはNG:見つかった場合は損害賠償や契約解除になる可能性あり
- 境界の未確定地や越境物(ブロック塀・植栽など)は事前に整理
- 告知義務の履行:近隣トラブルや過去の心理的瑕疵(自殺、事故など)を買主に伝える義務
誠実な情報開示と、引き渡しまでの適切な対応が、円滑な取引に繋がります。
信頼できる専門家や仲介業者の選定
不動産取引は複雑であり、すべてを個人で対応するのはリスクが高いです。実績や評判のある不動産仲介会社・司法書士・ファイナンシャルプランナーに相談しながら進めることで、法律的・金銭的トラブルを未然に防げます。
また、万一のトラブルに備えて、やり取りは書面やメールで証拠を残しておくことも重要です。
まとめ:安心・安全な不動産取引のために
不動産の売買は、大きな資金と人生設計に関わる重要な決断です。
その分、トラブルが発生すれば金銭的・精神的なダメージも大きくなるでしょう。
契約内容の理解、物件の調査、資金計画、引き渡し後の管理まで、細部に目を配ることでトラブルを未然に防ぐことができます。
自分一人で抱え込まずに信頼できる専門家の助けを得ながら、慎重かつ丁寧に進めていくことが、不動産売買成功のカギと言えるでしょう。