
マンションのリフォーム、特に大規模修繕工事の場面では、「談合」が問題視されるケースが少なくありません。
談合とは、本来ならば公平・公正な競争で決まるはずの工事発注において、特定の業者同士が事前に話し合いを行い、受注業者や落札価格を決めてしまう不正行為のことです。
これがなぜ起こるのか、どのような影響があるのか、そして住民や管理組合がどのように対策すべきかをわかりやすく解説します。
なぜマンションリフォーム(大規模修繕工事)で談合が起きるのか?
マンションの大規模修繕工事は、しばしば数千万円から数億円規模の大きな工事になります。そのため、施工を請け負う業者にとっては非常に大きな利益の出る案件です。また、管理組合や理事会は工事内容や見積もりの専門知識がない場合が多く、業者側の提案や設計コンサルタントに頼らざるを得ない状況になりがちです。
このような中、設計コンサルタントや管理会社が工事業者と結託し、「談合」を仕組むケースがあります。具体的には、複数の業者から相見積もりを取る形を装いながら、実際は特定の業者が受注できるよう価格調整を行い、見積もり書の作成段階から結果が決まっているのです。
マンションの大規模修繕工事で談合が起きると何が問題か?
談合の最大の問題は、工事費用が不当に高騰することです。業者間で事前に「落札価格」を決めてしまうため、入札や見積もりの表面上は複数業者が競っているように見えても、実際には競争が起きておらず、本来得られるはずの値引き効果やコストダウンが実現しません。
たとえば、通常であれば1億円で済むはずの工事が、談合によって1億2000万円で発注されてしまう、といった事例が全国で報告されています。これは管理組合にとっては大きな無駄な支出であり、修繕積立金を預けている住民全体にとっての損失です。
さらに、談合によって選ばれる業者は、価格面以外でも問題を抱えていることがあります。受注が確定していることで施工の緊張感が薄れ、手抜き工事や材料の質を落とすような行為が発生しやすくなるのです。これにより、完成後すぐに不具合が発生したり、耐用年数が短くなったりするリスクも高まります。
マンションの大規模修繕工事で行われた実際の談合の事例や報道例は?
近年、報道でも複数の談合事件が明らかになっています。2024年には公正取引委員会が大手建設業者を含む複数の業者に立ち入り調査を行い、設計コンサルタントや管理会社主導での談合の存在が指摘されました。さらに、一部の業者は談合を行う見返りとして「キックバック」(リベート)を支払っていたこともわかっています。
実際に管理組合が複数の見積もりを取得し、独自に調査を進めた結果、当初提示された見積もりが相場より30~40%も高額だった事例も存在します。このように、談合は現実に存在し、被害を受ける管理組合は全国に存在しているのです。
住民や管理組合が談合による損失を発生させないために取るべき対策は?
談合を防ぐためには、管理組合が以下のような対策を意識的に行うことが重要です。
複数の業者から相見積もりを取る
見積もりは必ず3社以上から取得し、価格や工事内容を細かく比較することが基本です。
第三者の専門家を活用する
設計コンサルタントや管理会社だけに頼らず、第三者機関や独立系の専門家に相談し、見積もりや設計内容が適正かどうかを確認します。
入札の透明性を確保する
入札や見積もりプロセスを理事会内で共有し、会議の議事録を残すことで、不正が起きにくい環境を作ります。
過去の実績を確認する
業者や設計コンサルタントの過去の談合歴、施工実績、評判などを調査し、疑わしい業者を選ばないようにします。
マンションリフォームや大規模修繕で談合が横行しているって本当かの記事まとめ
マンションのリフォーム、特に大規模修繕工事では談合が現実に横行しており、管理組合や住民が被害を被る可能性があります。
しかし、管理組合が主体的に情報を集め、第三者を活用し、透明性を重視して進めることで、談合リスクは大幅に低減させることができます。
工事の費用と品質を守るためには、住民全体が問題意識を共有して、慎重なプロセスを踏むことが必要不可欠です。